マミヤ7の基本操作とTips

以前書いたマミヤ7の純正改造の記事に、検索から訪問して下さるケース非常に増えている。が、当該記事は初期型を2型に純正改造できるよという内容で、カメラとしてのマミヤ7についてはさほど詳しく書いていなかった。
そこで改めて、私自身が一番使い込んだ史上最強カメラ(※個人の感想です)の基本的な操作と、使ってきた中での経験的なtipsも含めて記事にしてみます。

なお、ライバル機との比較や中古での入手などなど、先に出ている情報は「マミヤ7の純正改造」を増補改訂?しましたので合わせてご覧ください。

基本操作とTips

ファインダー周り

レンジファインダーのカメラ全般に言える事だが、マミヤ7のファインダー視野率はやや低めでブライトフレームよりかなり外側まで写ることになる。日本カメラ1995年8月号のテストレポートでは、80mm無限遠時での公称値83%、実測値で上下左右82%。最短撮影距離1mでほぼ100%の数値。
82%というのは「結構外側が写るなぁ」というレベル。カメラを購入したらまず、フレームの外側どれくらいまでが実際に写るのかということに慣れるようにした方が良いだろう。撮影距離によって視野率は変わるので、無限遠から最短撮影距離まで幅広く使う人はそれぞれに勘を働かせる必要がある。

レンジファインダーはフレームの外側が見えるというのが大きなメリット。どこまで写るかがおおよそ把握できれば距離を詰める・引くという判断も非常にやりやすい。
個人的には、フレームの垂直側の欠けが多いせいか?垂直が曲がってしまうことが多々ある。少し意識を強くすれば問題無いのだが、水平・垂直が苦手な人はちょっと注意を。

また、レンズによって自動で切り替わるブライトフレームなどの詳細は公式サイトにページが残っていたが、フェーズワンに吸収された折にサイトの全ページが削除されてしまった。ドメインや旧ページを残したからと言ってコストもほとんど掛からないのに非常に残念。

視度補正レンズ

マミヤ7のファインダーに内蔵の視度調整機構は無く、マミヤ645PROやニューマミヤ6と兼用の補正レンズを別途購入しはめ込む方式。ヨドバシ.comでは「645スーパー用」という名称で掲載されているものを購入すればOK。
こういった小物というのはいざ必要になって探してもナカナカ見つからないので、必要になりそうなら見つけた時に入手しておいても良いだろう。

私は元々視力はいいのだが、ごく僅かに老眼気味になって来た?ので今のうちにと+1の補正レンズを購入してみたところ、補正レンズが無い方がハッキリ見える印象。
レンズの取り付けはラバーアイカップに3本の爪である程度しっかり固定されるが、視差によってごく僅かなゴーストが出る場合があり、接眼部に補正レンズがむき出しになるので傷にはちょっと注意が必要だ。

逆光での注意点

マミヤ7 80mmのレンズフード

先のファインダー周りと関連する、逆光や半逆光でのフレアの出方について。

交換レンズ43mm・65m・80mmは似た傾向があり、逆光に弱くはないのだが「フレームギリギリで太陽などの光源を画面から外す」と盛大にフレアが発生することがある。
完全逆光ではゴーストも目立たないものがちょこちょこ出る。絞り羽根が5角形なので、その辺に拘る方は要注意だ。

ボディ内面で乱反射が出やすい位置があるようで、ファインダーの視野を遮らないようにするためレンズフードが先細りで短く、完全に有害光をカットできないのも影響しているだろう(右写真:クリックで拡大表示)。
太陽などの光源を外す時は、フレームよりも余裕を持って外側に。

最近は完全な逆光では撮らないので、古い写真を掘り起こしたサンプルが以下。左が80mmで右が43mm(クリックで拡大表示)。65mmでも条件が合うと右のような光芒が出ますが、全体のコントラストも大きく下がるのでこれをわざと狙うのはあまりお勧めできません。

80mmと43mmの逆光時のハレーション

巻き上げ操作

マミヤ7の最大巻き上げ角

マミヤ7のフイルム巻き上げレバーは動作角度がかなり大きく(右写真:クリックで拡大表示)、ラチェット(小刻み)巻き上げには対応していない。
完全に巻き上げ切れていなくてもレバーが戻るので、撮影しようとしてシャッター切れずに「あれ?」と思うことも。常に、レバーがストップする一杯の位置まで巻き上げる癖を付けましょう。

2型などで横吊り位置にストラップを付けているとレバーとストラップが引っ掛かりやすい(らしい)ので、気になるなら縦吊りの検討を。私は縦吊り専門ですが、重いグリップが下に来るので十分安定する印象です。

また、巻き上げ操作が重くなってきたと感じたらメーカーに点検整備に出すと良いでしょう。私も巻き上げが重くなった?と感じたことがあって、詳細を忘れてしまいましたがベアリングか軸かの摩耗で負荷が掛かっているとのことでした。
フイルム装填をきちんとしているのにタケノコ巻きになったり、巻きが緩いといった症状も巻き上げ側に問題が出る兆しのようです。

なお、余談この上ありませんが、長く使っているとトップカバー下はゆでタマゴっぽい白いプラスチックが出て来て、巻き上げレバーと裏蓋のエッジは金属製なので銀色に。各種ラバーも、質が良いのかベタついたり剥がれて来ることも無いようです。

露出計・露出補正

基本的には絞り優先AEで使用するのがいいカメラ。
露出計も、ベースになったニューマミヤ6のスポット露出的過敏症からはかなり改善されていて、標準レンズ使用時には一般的な中央重点測光と思って差し支えない。

それでも中央付近に光源や反射などが入る場合はそれなりにアンダーに、日陰などでは過剰にオーバーな露出となることがある。私としては、どちらかと言えば暗い場合の過剰露出の方が手ぶれの要因にもなるので注意している。
ファインダー内のシャッター速度表示は見ていない場合も多いので、絞り固定でシャッターの音を聞くようにしていると「あ、今のは過剰に遅いな」と判るようになる。

2型になって多少操作性は改善されたものの、マミヤ7は基本的に露出補正をやり易いとは言い難い。初期型は、シャッターダイヤル左下のボタンを押しながらダイヤル前側のノッチを動かして補正を行う。1/3段の操作角度も少なめだ。
ファインダー内に補正中の警告表示は出るが見落としやすく、補正の戻し忘れには要注意。

リバーサルフイルムでないのならザックリ補正で事は足りるので、三脚にセットしての撮影ならば、露出計を参考にしてマニュアル露出を、手持ちの撮影ならカメラを適当な方向に向けてシャッター速度を見ながらAEロックをした方が効率的だと思う。
シャッターダイヤルには「A」と「AEL」の指標があり、AELの位置にしておけばシャッター半押しで露出ロックが掛かる。ダイヤル内のISO感度共々、撮影開始前には動いていないか必ず確認している重要部分。

フイルムスプールの取り出し

マミヤ7のフイルムスプール取り出し

フイルムスプールの取り出しは、スプール受け下側のオレンジのノッチのスライド操作で行う。ノッチ操作でロックを解除し、スプールの上側ツバの部分を軽く押してやると簡単に取り出しができる。
巻き取り側も、ロック解除でピョコっとフイルムの下側が持ち上がる。

これは中判カメラ全般に似たような構造なのだが、スプールの軸受けやクリアランスの問題からその操作がスムーズに行かないものが多々ある。
が、マミヤ7は非常にいい。フイルム交換の際に、毎度いかに素早くフイルム交換ができるかという一人遊びをしてしまうレベル。

何の根拠も無いのだけれど、これはカメラの設計者の方が操作のし易さに拘った結果ではないかと思ってわざわざ独立項目にしてみた。目立たない部分だけど、このスムーズさは写真好き・カメラ好きの成せる技ではなかろうか。

なお、マミヤ7はブローニーの120・220両対応で、裏蓋の圧板を回転させるだけで使用可能。だが、220フイルムがほぼ絶滅と言って良い状況なので、カメラを入手したら最初に圧板の白点が120側に合っているか確認しておけば良いだろう。

レンズキャップの処遇

マミヤ7に限らずレンジファインダーのカメラを使ったことがある方は、一度や二度はレンズキャップを外し忘れてシャッターを切った経験があるはずだ。
レンズフードを付けていると尚更気付きにくい。そして気付いた時のあのがっかり感…

そこで私はレンズキャップを一切付けないという方法をとっている。カメラをバッグに入れている時も家で保管する際も。
バッグの中で小物をカメラと同じ場所に入れないように、必要に応じてクリーニングクロスでフードごと覆っておくなどしていれば、レンズの表面に直接何かが当たるということは極めて稀ではないかと思う。

この辺は好みだろうけど、レンズに保護フィルターも付けない派なので、無くてもいいものは無い方がいいとう考えです。

交換レンズ

一時拡張したマミヤ7のフルセット 1999年頃

マミヤ7には交換レンズとして、広角の43mm(35mm判換算21mm相当)から、50mmと65mm、標準レンズはやや広角寄りの80mm(35mm判換算40mm相当)、望遠側も150mmと目測式の210mmが用意されていた。

43・50・150・210mmはそれぞれ外付けファインダーが用意されているが、150mmはボディ側にもフレームがあるので外付けファインダー必須ではない。
一度ボディ側のファインダーでピントを合わせてそれから外付けファインダーでフレーミングという流れとなる。ライカ等35mm判の広角なら目測での撮影も有効だが、マミヤ7ではしっかりピントを合わせる方が確実だろう。

43mmの外付けファインダーは当初ガンメタリックだったが、後に黒い外装に変更されているためファインダーでおおよその発売時期が判定可能。50mmは後から追加販売されたため最初から黒のみ。
150の開放はF4.5。近距離のF5.6で撮影したことも何度かあったが、ピント精度に不満を感じたことは無かった。ピント精度を優先して開放F値の設計を決めているのかも知れない。

私も一時期43mm・65mm(後に80mm)・150mmとボディ2台という師団を組んで撮影していたが、現在ではボディ1台に80mm一本だけ。
43mmは素晴らしいレンズで気に入って使っていたのですが、やはり広角特有のパースが気になってしまい使い方が難しい。最初の1本としてはスタンダードに80mmか、少し広角の65mmというのが無難だと思います。

なお、レンズフードは43mmと50mmが共用、他は専用品となっている。リアキャップは43~65mmまでが深型の共通。80mmと150mmは浅いもの。これも失くしてから探すとナカナカ見つけ辛い小物です。まだギリギリ新品で入手できる…かな?


レンズ交換時に注意すべきことは遮光幕の戻し忘れ。マミヤ7は、レンズ交換前に底部のつまみを回転させ遮光幕を引きだし、交換後にスライドレバーで幕を戻す操作が必要。その最後の「戻す」を忘れることがしばしばあって、撮ろうとするも安全機構でシャッターが切れない。
気付いてから操作してもいいので実害はほぼ無いが(シャッターチャンスなどはあるかも知れない)。対策は、幕を戻すまでをレンズ交換一連の流れとして意識することくらいだろうか。

点検と修理

多くの名機を生みだしたマミヤ(マミヤ・デジタルイメージング)は、2015年末にデジタルバックで有名なデンマークのフェーズワン社に吸収されてしまい、旧マミヤ製品のメンテナンスもフェーズワンジャパンに引き継がれた。2017年現在もフェーズワンジャパンのサービス窓口で点検・修理を受け付けてくれる。

修理の場合は、以下マミヤカメラクラブ掲載の住所に症状と連絡先などを明記したメモなどを同封して送ればOK。折り返し見積もりとおおよその納期について電話があると思う。もちろん事前に電話確認することも可能。

私も2度ほど修理を依頼した事があるが、共に修理完了後代金の支払いは宅急便の代金引き換えで支払う方式だった。

6×7というフォーマット

さて、好きなカメラについて書くのは楽しいものです。もちろんマミヤ7というカメラも素晴らしいのだけれど、6×7というフォーマットも個人的には非常に好き。
実寸法でおよそ56x70mm、1:1.25という縦横比。マミヤRZ・RBといったカメラを中心にスタジオ撮影でも多く使用された比率だが、現在でもこのフォーマットで作品を撮っている写真家の方は非常に多いと感じる。
この寸詰まりの不安定さに慣れてしまうと、35mm判の1:1.5(2:3)というのは長辺が長過ぎて撮り辛いことこの上ない。

現在デジタルカメラでは2:3が大半を占めている。いわゆるフルサイズ。3:4のカメラやデジタルバック、設定で1:1の撮影が可能な機種もあるが、1:1.25に対応したものは…?
撮像素子全体を有効に使いたいとか、ちょっとトリミングすればいいじゃないか等々メーカーには言い分があるのだろうが、何だか忘れ去られようとしているフォーマットのようで残念。

ま、何にしても6×7いいですよ。変に空き過ぎたり収まり悪かったり。当分はこれしか使うつもりが無いくらい本当に好きなフォーマットです。
作例も何も掲載していませんが、全てマミヤ7+80mmで撮影したハードカバーの写真集を蒼穹舎から刊行しましたので、ご興味がありましたら以下リンクからぜひ。

斎藤純彦写真集「MILESTONES」直販ページ
(内容見本あり・カード決済対応)

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