パターソン製プリントウォッシャーレビュー

銀塩フイルムが斜陽となった現在でも、バライタ印画紙の水洗機プリントウォッシャーは新品で入手可能なものが幾つかある。

これまでは昔購入した藤本写真工業NOVAブランドのものを愛用してきたのだが、一度に水洗できる枚数に不満があり先日パターソン製に買い替えた。
が、色々と問題があり正直なところ買い替えて良かったとは言い難い状態。実際使ってみていくつか気になる点や問題があり、メーカーの意図そのまま使うということは出来ていません。

ただ、パターソンのプリントウォッシャーは新品で購入できる数少ない機種の一つなので、個人的な気付きや不満点や改善すべき点などをレビューしてみます。

パターソン製プリントウォッシャー

主な仕様

パターソンのプリントウォッシャーは一般的な水流依存のものと異なり、注水の水流によってシリンダーと言うかピストンと言うかを動作させて、印画紙の入っているラックを左右に揺らし水洗効率を上げる仕組みとなっている。
と、文字で書いても判り辛いでしょうから、以下の動画をご覧ください(クリックで再生・若干音が出ます)。

私が購入したのは大四つ切用(11×14インチ・12×16インチまで対応)、同時に12枚まで印画紙を水洗可能なもの。
外寸は、幅49 × 奥行き21 × 高さ38cm程度。上の開口部が43.5 × 15.5cmくらいです。

注意点:動作音

先の動画で「ガガガガガ」と音が聞こえますでしょうか?これは水流によってラックを揺らすスライスユニット(ピストン構造)の動作音。内部にある水流を溜めて一気に放出する、制御用の金属ボールが暴れてユニットにぶつかり音が出る。
音の大きさというのは伝え辛いのですが、深夜の自宅暗室作業を想定しアパートのユニットバスで使用してたらお隣さんから壁ドン(誤用)されるくらいの音量だと思います。

住環境によって問題無い場合もあるでしょうが、浴室は音が響きますのでちょっとご留意を。

注意点:水量が決められている

パターソン製プリントウォッシャー排水部分

構造上、先のスライスユニットを正しく動作させる水量というのが決まっており、水道から水を多く出してもユニットが動かなくなりホースが外れて水が飛び散るだけです。

この適切な水量というのがやや少なめかな?と。おおよそ1~1.5L/分程度。そんなに大量に水を流す必要は無いと知ってはいますが調整できないのはやはり不満。
数字では判り辛いと思いますが、タイマーを見ながら1分間ちょろちょろとメスカップに水を出してみると水量の感覚が判ります。

排水はサイフォン式で、ハイポの溜まる底の部分から水を汲み上げてホースで排出(画像・クリックで拡大)。
ただ、汲み上げられる水量も決まっているため、注水量を増やすことが出来ても上から溢れてしまうだけになります。上部の空気穴を塞げば排水量を増やすこともできますが、注水量と合わせなくてはならずコントロールは面倒です。

注意点:ハンドルにカバーを

パターソン製プリントウォッシャー ラックハンドル部分

ラックの左右に金属製のハンドルが付いており、本体からラックを持ち上げることも簡単に出来て便利。

水洗時はハンドルを内側に倒すことで印画紙が浮き上がるのを防ぐ構造になっていますが、ハンドルのエッジがかなり尖った形状で、水洗準備中に急に倒れ込んで印画紙に凹傷を付けてしまう可能性が大。

まず何より先に、ホースの余った部分やウレタンなどをハンドルに巻き付けて、傷防止をしてから使用することをお勧めします。

スリット幅

スリット1つの幅が7~8mm程度と狭く、記事最初の画像のように切り欠きがあるので、印画紙を挿入する際に左右のスリット掛け違いには十分注意を。入って行かないからといってぐっと押えると、折角のプリントが簡単にダメになります。

私は、予備水洗→バットでの水洗促進剤浴→本水洗と、何度かプリントウォッシャーからの出し入れが発生するのでちょっとストレス。ただ、スリット幅が広くなれば本体も大きくなるのでそれを言うのは我儘ですね。

注水ホースの形状

パターソン製プリントウォッシャー ホース

画像が付属してくる注水側のホース口(クリックで拡大表示)。
元々蛇口側にタカギ泡沫蛇口用ニップル G063というコネクタを付けていたのがぴったり合った。

結構しっかりはまるので、よほど強い水流でなければ抜けてしまうようなことは無いと思います。

購入方法等

国内販売ではSilversaltさんで44,500円で取り扱いがあり、海外からの郵送時間や破損のリスクを考えるとこちらで購入するのが良いと思う。
私もSilversaltさんで購入したのだが、設置・使用方法のオリジナル日本語説明書を付けて下さった。嬉しいじゃないですか。

なお、アメリカB&Hなどで構成パーツ単体が販売されており、部品の破損時などには破損部分のみ購入することが可能だ。これは結構ありがたいシステム。
中のラックのみ購入して、外枠をアクリルなどで自作するというのも良いと思う。ただ、こういったモノを作るのは言うほど簡単ではないと思いますが…

私的今後の展望

色々難点を書いてしまったけれど、印画紙12枚をプールできるのは大きなメリット。
買ってしまった以上これを使っていくつもりなので、うるさいスライスユニットからの注水はせずに、熱帯魚用のシャワーパイプを購入し上部注水、同コンパクトポンプで循環促進と排水強化をすべく準備中。

ヤレヤレどうなります事やら。良い感じに改造できたらここに追記します。

その他の印画紙水洗機

藤本写真工業 NOVA ウオッシュマスターII(生産完了品)

ラッキーNOVA製プリントウォッシャー

長年使ってきたモデルだが印画紙のスリットが5つしか無く、私の場合1か所乳剤面を向かい合わせにして3カット6枚で水洗タイムとなってしまうのが不満で買い替えた。
せめて5カット10枚程度焼いてから水洗兼休憩タイムと言うのが個人的にはベスト。

下部から注水し、二重構造の上部から溢れた分を排水する方式。下部にはコック付きの排水パイプがあり、ハイポ抜きや撤収の際の水抜きにも便利だった。
水洗方式や仕様については、詳しい過去の販売ページがあったので参考に(何で俺のは波の絵が付いてんだ???)。

パターソン製よりかなり重量はあるものの、薄型で収納も楽だったので安易に売ってしまうのも考えものだったかなぁ…と。

Versalab製

先日検索していて見つけた印画紙14枚を水洗可能なVersalab製のウォッシャー。
大四つ切用と小全紙(16×20インチ)用がメインで、大全紙(20×24インチ)に対応する拡張ユニットが用意されているようだ。価格は大四つ切用で265ドル。ebayにも出品していて、日本までの送料が100ドル少々。

やや厚みがあるのと、印画紙の貼りつきや出し入れなど使い勝手の面が何とも言えないのですが参考までに。

国内では、あんしつ.comで取り寄せられる。

その他の定番プリントウォッシャー

縦置き型で有名なものは、カルメット(Calumet)やコスタイナー(kostiner)、ゾーン6(zone VI)製のもので、大四つ切程度から大全紙対応の巨大なものまで各種サイズがある。
もう全て新品では販売されていないようだが、特殊用品であるが故に中古が流通する市場も存在する。
構造はNOVAのウオッシュマスターと似た厚手のアクリル水槽型で、上部オーバーフロー式が一般的だと思う。

ただし、これらのモデルは性能や使い勝手はいいのだろうが中古でも結構な価格。腹をくくるには良いかも知れないがご予算と相談で。

購入時の確認ポイント

購入ポイントが言えるほど色々な機種を知ってるわけではないのですが…
自宅暗室でプリントウォッシャーの設置場所というのは概ねお風呂場で決まりでしょうけれど、アクリルタイプのものはかなり重量があるのでどこに収納しておくかも少し考えて購入した方がいいと思います。
また、水の入った状態では非常に重いので、撤収時の水抜きや仕切り板の乾燥など細かな部分の使い勝手もちょっと考慮すると良いかも知れません。

注水・排水用ホースの接続部分が本体から飛び出している場合、ぶつけて破損させてしまう可能性がありますので十分ご注意を。

印画紙水洗の戯言

プリントウォッシャーについて長々と書いてしまったが、バットの水洗でもしっかり水が回るように印画紙を入れ替え、その際に折れ皺の付かないようにと注意しながら作業すればいいわけで、正直無理に買う必要は無いとも言えるアイテム。

イルフォードの最新のバライタ印画紙FB Classicなどは、水洗時間が50%も短縮されたことを特徴としてうたっていますし(参考:イルフォード・オリエンタル等のモノクロ印画紙について)、私も通常プリントする大四つ切は水洗機を使いますが、展示用の大全紙等大きなサイズはバットでの水洗です。

何のオチもありませんが、相手は目に見えない残留ハイポ(定着液の成分)。少しでも効率的に作業する為に、あれば便利なプリントウォッシャー。ご検討の一助になれば幸いです。