大全紙・小全紙の暗室作業ノート

デジタル時代になって1mを超えるプリントサイズの写真展も多く見られ、銀塩印画紙の通常最大サイズ大全紙(20×24インチ・約50x60cm)でも「普通の大きさ」に見えてしまう昨今。

何でも大きくすればいいというものではないのだが、大きな会場で展示をする場合などにはちょっと大きく引き伸ばしをしてみたい。しかし、自宅暗室はもとよりレンタル暗室でも大全紙のプリントを作るというのは、情報も無く、コストや体力面、スペース的な部分でもナカナカ手を出し辛い。

そこで今回は自分の覚え書きの意味も含め、前段に自宅暗室で大全紙を伸ばすための用品の準備とチェックポイント、後段に実際の暗室作業の注意点とギャラリーへの搬入まで含めまとめてみます。
原則バライタ大全紙前提の記事ですが、部分部分で小全紙(16×20インチ・約40x50cm)もフォローしています。

なお、姉妹記事として当記事のロール印画紙版も公開しましたのでぜひ。

大全紙・小全紙の展示風景は、以下の各作品ページでご覧いただけます。

暗室用品の準備と確認すべきこと

自宅暗室作業の場合、レイアウトの方法に依りますが無理なバットの重ね置きなどしなくても四畳半程度のスペースがあれば大全紙のプリントは可能です。
以下引き伸ばし機やイーゼル、バット等の用品選びと準備について説明してゆきますが、現行の暗室用品はいつ生産が終わってもおかしくないし、現在も作ってると言うより「まだ最後の在庫が売れてない」という感じで残っているのではといった状況。

慌てて使う予定の無いモノを買う必要はありませんが、何が必要かを前もって把握し、買えるうちに・見つけた時に揃えてしまうというのがいいのかも知れません。

暗室のレイアウト

大全紙プリント時の暗室レイアウト

右画像が私が普段生活している部屋で、大全紙を焼く場合のレイアウト(クリックで拡大表示)。事前の部屋の片づけは必須にしても、何とか並べることが出来ればプリントはできます。

ベッドは下側に収納スペースがあるタイプなので、普段はイーゼルやバットを収納している。暗室作業の際にはベッドの上にネガファイルとこれから焼くコマの大四つのプリントを、下に印画紙を置いて隅に腰かけて露光をするというギリギリ感。

引き伸ばし機は次のセクションの写真のようにローテーブルに、バットは全て新聞紙を多めに敷いて床に直置きをしています。
大四つでの失敗プリントやテストピースはバットに入れますが、大全紙ではスペースもバットの数も足りないので5Lのメスカップに廃棄。画像の「運搬」は、定着済みの印画紙を水洗(風呂場)に運ぶためのバットです。
また、暗室のレイアウトは印画紙を引き出す前側のスペースを十分確保するのもポイント。これらについては個別に後述します。

どうしてもバットを置くスペースが確保できない場合、ロール印画紙の暗室作業ノートで説明している塗り現像でも対応できますが、現像ムラなどを考えるとバットでの処理が理想です。

引き伸ばし機のセッティング

支柱逆付けした引き伸ばし機

一般的な引き伸ばし機は、そのままの状態では小全紙程度までしか引き伸ばしは行えません。

大きなサイズのプリントをする場合、右画像(クリックで拡大表示)のように支柱を前後逆向きに付け替えて床面に投影する方法が一般的です。
その際、バランスが悪くなるので台板上に必ず厚めの本や写真集、印画紙などの重しを置いて下さい。

一通りのセットをしたら、水準器でテーブルと引き伸ばし機の台板、床のイーゼルのそれぞれに変な傾きが無いかの確認を。モノが大きい故、気付かずに何かを踏んづけている事などもあります。
しっかり組めば、これでネガキャリアのピント面の平行が狂うということは無いと思います。

引き伸ばし機によって出来る・できないがありますが、ヘッドを90度回転させて壁面に投影する方法も。ただしネガと壁面の並行の調整に手間が掛かるので、大全紙程度なら支柱を逆付けする床面投影が一般的。

また、ヘッド回転方式ではネガも90度回転して投影されることと、印画紙を壁面に固定する方法にも留意する必要があります。投影サイズを変更するには、引き伸ばし機自体を前後させる必要がある為に結構な労力と推測。

変則的な方法をしなくてもいいように、最初から支柱の長い4×5インチに対応した大型の引き伸ばし機を使用して、中判や35mmのネガをプリントしている写真家の方もあるようです。

イーゼル

大サイズの4枚羽根イーゼルはサンダースのものが定番ですが、中古で状態にもよりますが5~7万円とやや高価で市場に数も多くはありません。
すぐに使う予定が無くてもいつか必ずと思うのならば、オークションなどをマメにチェックしておくといいかと。私も最初の展示が決まるよりかなり前の段階で中古を購入しました。

2枚羽根のイーゼルも含めて検討すれば、国産の現行品なども含め選択可能となります。
ISEから2枚羽根と、右画像のような左上位置決め型の4枚羽根という珍しい方式のイーゼルも現行品として販売されています。

展示用プリントはマットなどで余白部分を隠すことが多いので、四方向に均等な大きな余白が必要というプリントをしないのなら2枚羽根イーゼルでもよいかも知れません。

また、かつて主流だった日本サイズの全紙(18×22インチ)に対応するものは中古でも多少数があり、小全紙であればこの全紙用のイーゼルで焼くことが可能だ。

プリントの余白の設定は、印画紙と同じサイズ(印画紙そのものでも可)に露光部分の線を引いたものを先に用意して、そこに羽根を合わせて位置を確定させます。位置が決まったら、ブレードはズレないようにパーマセルテープなどで固定してしまうのが良いでしょう。

実際の暗室作業の開始時には、最初の1枚目が定着液に入った後で必ず余白のズレなどが無いかの確認を。


私自身はやったことが無いのだが、イーゼルの代替としてブックマットを使うという方法もあるようだ。
当然サイズは固定となり業者さんに制作を依頼すれば安くはないが、背面ボードを床に固定して、写真を入れる時と同様に位置決めのコーナーに印画紙を差し込んでセットする。

印画紙やボードは完全に平らという訳ではないので、この方法の場合はオーバーマットの周辺に浮き防止の重しを乗せるなどしてから露光した方が良いかも知れない。
通常のイーゼルより位置ずれなどに気を使いそうだが、一考の価値はあるやも。


これは展示方法による極論だが、イーゼルが無くても問題ない場合も。
マットで周辺を隠す、周辺を額の下に入れ込むことで隠すということなら、印画紙を長定規などで押さえて露光すればよい。

ただ、位置決めや印画紙の浮きなど問題も出るので、イーゼル無しは本当に最終手段として。

バット(トレイ)

ライオンとパターソンのバットの比較

現在国内では、大全紙対応の印画紙用バットは販売されていないという状況ではあるが、ギリギリのサイズのものと海外通販で問題無くクリアできる。

私が使用しているのは、国産のライオン(右画像の重なり下側)とイギリスのパターソンのバット(同上側)。

ヨドバシカメラのプライベートブランドである、ライオンの全紙用バットが最も容易に入手可能。
ただし、大の付かない「全紙」用のため大全紙に使用するには底寸法が僅かに足りず、少ない液量ではバットのフチに印画紙が引っ掛かってしまう。薬液7.5L程度を入れれば何とか処理は可能だ。

バットの角の処理も、画像のようにライオンの方が丸くなっているので印画紙カドのアタリにはちょっと注意したい。ライオンはパターソンのものに比べ、素材も薄く強度もギリギリといった感じだがその分軽量で安価。

パターソンのバットは、小サイズのもののみ国内でLPLブランドとしてOEM販売されており、LPLの半切表記のものが海外の小全紙用と同じもの。ブログで検証記事を上げてらっしゃる方があるので参考に。

ライオンブランドより少々価格は高いが、パターソンの底寸法は印画紙が少々余裕を残し収まり強度も高い。大全紙サイズは国内での取り扱いが無いものの、海外では定番のバットとして入手は容易。
私は1枚をケチってライオンで代用したが、使い勝手などを考えると現像・停止・定着と3枚パターソンで揃えるのがおススメ。

一旦、ライオンとパターソンの外寸と底寸法、リンクのまとめ。自宅で並べられるかといった参考にも。パターソンは、右下側にピンセット(トング)置きを兼ねた薬液廃棄用の飛び出しが少々ある(下記外寸には含まず)。

パターソン製品を扱っているお店で、大全紙のバットを取り寄せてくれないか確認してみるのもアリだと思いますが、海外のカメラ店から印画紙などと一緒に購入する方が早い気も。
パターソンの大全紙用が1枚49.95ドルと、大全紙対応バットの中では比較的安価。私は使った事が無いのですが、名前はよく聞くセスコライトが69.95ドル等となっています。
以下はB&Hで販売されている大全紙対応バット一覧。


私が大全紙をプリントする際のバットと薬液量を参考までに。

  • 現像(パターソン)…8L(印画紙吸収分を考え若干多め)
  • 停止(ライオン)…7.5L(引っ掛かり防止のギリギリ)
  • 定着(パターソン)…6L(印画紙が浸かるギリギリ)

なお、工場用のプラスチックトレイやガーデニング用の平鉢まで、写真用バットの代わりになる物が無いかと散々探しましたがサイズが合わなかったり価格が高かったり。素直に写真用を買った方が良いという結論です。

プリントウォッシャーのような縦型アクリル水槽をオーダーして、ムラ防止に現像のみ平バット、停止・定着はそのアクリル水槽とか考えた事はありますがどんなもんですかねぇ…。
藤本写真工業扱いのNOVAブランドで、以下のような小全紙のものはありましたが。

メスカップと貯蔵瓶

通常サイズのプリントやフイルム現像用途メスカップは2L程度のもので十分ですが、使用する薬液の量も多くなるので右画像のような5L程度のものを用意した方が効率は良くなります。
薬液も多く必要になる割に処理能力一杯までは使いきりませんので、貯蔵瓶への中継や廃液を入れるにも大き目のメスカップがあると便利。

撤収の際も、2Lのメスカップですくって5Lに移し廃液へというように、段階を踏んで作業する方が安全です。
また、廃液の回収を依頼している場合、連日大全紙等の暗室作業をすると20L程度のポリタンクは結構な早さで埋まることになるので、回収依頼のタイミングなどもちょっと意識を。

印画紙水洗用品

縦置きのプリントウォッシャーは、大全紙対応となるとかなりの大きさ・重さとなり更には価格面もナカナカ。使わない期間も長いのだから、個人で大全紙に対応するプリントウォッシャーを買う必要はなく、バットでの水洗→金銭的余力を印画紙代へという方が良いと思う。

私も印画紙の水洗はバットで行っており、以下のヤンキー製の水洗バットを使用。小全紙用もラインナップ。

このバットは角が丸く排水の穴には大きなバリが出ていたり、注水方法も側面のみとおススメというほどではないが、シャワーでの注水にするなど既存の安いものを工夫して使うというのが一般的な方法だろう。ただ、大全紙に対応した水洗バットというものも選択肢はほぼ無い状況であるが。

水量が多いとバットを傾けて水を捨てるといった作業もかなり大変なので、下部に水洗中のハイポ抜きと作業終了時の排水を兼ねるコックを付けるなど(ヤンキーのバットにはハイポ抜きホースはある)、きちんとした水洗には多少工夫をした方がよりよいかも知れない。

なお、水洗バットはサイズも大きいので、水洗スペース(主に浴室?)に置けるのかも事前に確認を。前出の大全紙対応ヤンキー製バットの外寸は、約60x70cmとなっている。
パターソンやライオンのバットなどと重ね置きも出来ないので、収納にも若干の難が。

印画紙の乾燥

クリップと洗濯バサミでの印画紙乾燥

私はバライタ印画紙の乾燥とフラットニングで作成した乾燥棚に、大全紙が8枚乗せられるので概ね事は足りる。奥行き50cm少々の空きスペースがありそうならぜひご参考に。

ただ8枚の乾燥スペースだと、1カット2枚残すこともあったりで若干足りないこともしばしば。
先に焼いたものの乳剤面が概ね乾いていたら回収してしまうか、右画像のように突っ張りポールを使ってクリップで吊るすというのも選択肢(クリックで拡大表示)。

この画像はロール印画紙のプリントの際のものだが、印画紙の隅に僅かにクリップ跡が付くことと印画紙のカールが強く出ることには留意したい。
突っ張り棒が外れて落ちると心が折れますので、十分な強度があるものをしっかり設置を。

ポスターフレームの枠だけを入手し網戸の網や園芸用ネットを張って乾燥棚を作る方法も。ただこれは、複数枚の上下スペースをどうやって空けるか、保管をどうするか(結構邪魔になる)等、スペースに余裕がある場合の選択肢でしょうか。
ポスターフレームはB1サイズで大全紙が2枚、B2なら1枚乗ります。

プリント作業の注意点

引き伸ばし機など暗室のレイアウトが変わると、セーフライトの当たり方やフィルターの置き場所なども変わる。
イーゼルにコード類が挟まる危険は無いか、タイマーは押しやすいか、焼き込み・覆い焼きのツールは何処に置くか等々早めに定位置を決めてしまうといいかと。

イーゼルへのセット

大全紙の印画紙は、箱の開け閉めや黒ビニールを開き紙を引き出すという一連の作業で、かなりホコリが立つレベルで空気が動きます。
イーゼルを床置きしてる場合、床に落ちてる綿ぼこりなどが印画紙の上に乗らないように注意。そもそも周辺を綺麗に拭き掃除してから始めるのが良いかと。
同様に、印画紙の上に髪の毛や汗が落ちないようにも気を付けましょう。

イーゼルに印画紙をセットする際、サンダースなどの4枚羽根のイーゼルは主にスリットに印画紙を差し込むタイプとなっているが、バライタ紙は未使用状態でもカーリングしておりナカナカ上手く入らない。
セーフライトの配置を手元が見えるような位置にして、印画紙の左右どちらかを僅かに手前に引いて斜めにし、かつ印画紙の下側を浮かせて差し込むような感じでやってます。
スリットは印画紙の幅よりかなり広いので、印画紙がきちんとスリットの左側に(右でもいいですが)寄っているかを毎回注意しています。

大伸ばし用は、2枚羽根の左上の位置決めに印画紙を合わせるタイプのイーゼルの方が作業は簡便かも知れない。
ただ、このタイプはイーゼルを閉じた際に印画紙の位置がちょっとズレてしまう事も。左上を合わせて、下か右側に薄い簡易のスリットなどを作るなど工夫した方が良いかも。

プリント作業

プリントの露光云々は、普段のやり方が人それぞれですので「ご自由に」ですが、基本的にはマスターとなる小サイズのプリントをしっかり作って、露光や焼き込みのデータを書き留めて置くことが重要。
そのデータと実際のプリントを手元で見比べながら、大全紙用の露光を考えます。
大全紙でベストなプリントを求めて、1カットに何枚も印画紙を使うというのは金銭的にかなり厳しいので、テストピースを惜しみなく使って一発で仕上げるように心掛けている。

一概には言えないが、大四切などよりベース露光のフィルターを1/2程度硬くするか焼き込みを硬めのフィルターに変更して、若干コントラストを上げた仕上がりにした方が見栄えが良いケースもある。
あくまで参考程度ですが、同じ引き伸ばしレンズを使用して大四切F11、大全紙F8で、露光量は1.5倍の秒数が目安。大四つ14秒なら大全紙では21秒前後でテストピースに露光して開始しています。これも単純に倍々ではないのでほぼ勘になりますが。

しかし写真展を見に来る人は、大四つなどのプリントが上手いかどうかではなく展示のプリントで判断するわけですので、何処で折れる(妥協する)かはナカナカ難しいところです。

現像から定着まで

サイズが大きくなるだけで、露光同様特に変わったことをする必要はありませんが、現像液から停止液へ定着液へという移動は、普通のピンセット(トング)1本だけで持ちあげるのは印画紙が丸まってしまい危険。

私は一つの角を竹ピンで、もう一か所の角を使い捨てのポリ手袋をしてつまんで水切りと移動をしています。

また、普段通りに印画紙を持ちあげて水切りをしていると、サイズが大きいのでセーフライトに近づき過ぎてしまうこともあるのでちょっと注意を。

ポリ手袋は、現像用と停止・定着用の2枚を工程によって付け替えながら使用していますが、脱着時にどうしても手に薬液(主に定着液)が付いてしまう事があります。そのままもう一枚焼こうと未露光の印画紙に触ってしまうと、その部分が汚染されることに。
硬く絞ったタオルを置いて都度指を拭くか、面倒くさがらず薬品が付いたら手を洗うことを推奨です。

印画紙の水洗

大四つ切くらいなら印画紙の角を竹ピンでつまんで、落ちる水滴をメスカップで受けとめながら水洗に運べますが、大全紙は1つの角だけをつまんでも下で水滴を受けるのが困難なサイズ。
私は、水洗に運ぶ時は安い前出ライオンのバットを運搬用として用意し、それに乗せて水洗ルーム(という名の風呂場)へ運んでいます。
運搬バットから印画紙を持ちあげる際に、ひと角だけを持って斜めに持ちあげると簡単に折れジワが付いてしまいますので注意。

水洗は1日分のプリントを溜めて、最後にまとめて行っている。
サイズが大きいと、バットに水をチョロチョロ流してもナカナカ全体の水が入れ替わらないので、水洗中は印画紙の折れに注意しながらなるべく印画紙の上下の入れ替えなどを行う。

15分程度の予備水洗後一度水を止めて、溶解した水洗促進剤2Lをそのまま水洗バットに入れ、しばらく撹拌と印画紙の入れ替えをして15分ほどの本水洗。
私の使用しているイルフォードのFBクラシックは、バライタながら水洗時間の短縮もうたっている紙なので、昔のように数時間も水洗するという必要は無い。

プリントの水滴取りから乾燥は、私家版:フィルム現像とプリント作業に書いたことそのまま。サイズが違うだけでやること自体は変わらない。

1日に焼ける枚数と余力

一日に大全紙を何枚焼けるかは人によってそれぞれだろうが、既に小サイズを焼いたデータがあるので、テストピースでの確認露光をしっかりやれば意外と時間掛からない。大四切などの通常プリントの8割くらいの枚数を焼けるのではないか。

私は比較的プリントは速い部類だと思うが、直近のphotographers’ galleryでの写真展で大全紙をプリントした際には、日々の進捗が9・9・9・9・10・8・3+焼き直し3枚、合計57枚を焼くのに使用した印画紙97枚(テストピースは別)だったとメモが残っている。参考までに。
体力と集中力勝負になるが、1日10枚焼こうと思うと相当キツイ。焼き直しも含めて、なるべく余裕を見て計算を。

なお、レンタル暗室での作業のメリットは焼き終わったら帰ればいいことだが、自宅暗室の場合は片付けをしなくてはいけない。
巨大なバットと多くの液量なのでそれなりに時間が掛かるため、体力・集中力ギリギリまでプリント作業をせずに余裕を持って切り上げるようにしたい。

後処理と搬入等

乾燥後のフラットニングは、ドライマウントプレス機がある方が良い。私の場合、大四つ切用の小型のドライマウントプレス機で分割のフラットニング処理をして、重ねて印画紙の箱に入れている程度。
都市部ではドライマウントプレス機のレンタルという方法もあるが、上下を厚手の板に挟んで、クランプなどで固定してしばらく置いておくといったやり方も。そういった場合も保管スペースは一考する必要があるだろう。

印画紙直貼りの展示の場合、ギャラリーの湿度などで波打ちは避けられない。
ブックマットでの展示はもちろん、マット無しのガラス面で直接印画紙を押さえるという方法の展示も見かける。話を聞けば、よほど高湿度や長期間でなければガラス面に乳剤面がくっつくといったことも無いそうだ。

印画紙のギャラリーへの搬入には、右画像の大全紙が余裕を持って収まるB2サイズのナイロンバッグを愛用している。
価格も安く、使用しない際は小さく丸めることもでき非常に軽量だが強度は十分。小雨程度なら防水性もあるが、フラップ左右に若干隙間はできるのでビニールはかぶせた方がいいかも。

海外購入の箱に入った印画紙50枚は楽に収まるが、ドライマウントをしている場合や枚数が多い時にはバッグを2つにした方が肩が壊れなくて済む。

大サイズプリント作成の戯言

印画紙の購入は、私はかなり前からアメリカのB&Hから購入している。ちょっと前の記事だが、イルフォード・オリエンタル等のモノクロ印画紙についてを参考にどうぞ。焼く枚数にもよるが、印画紙はテストピースの分も考慮して購入を。

部分部分の細かなtipsは私家版:フィルム現像とプリント作業にも記述しており、同記事後段で紹介した以下書籍では大サイズのプリント作成の工夫も多く掲載されているのでおススメ。

しかし、こういった記事を書いておいて何だけど、首都圏に住んでいるのなら大全紙を自宅で焼くのもいいがレンタル暗室の使用も検討した方がいいと思う。
出費がかさむことや、普段と違った引き伸ばし環境での作業はデメリットとなるが、レンタルゆえのメリットも多いと思うので。

まぁ、何にしろ私の知っているノウハウはほぼ全部書いたつもりです。これが正解ではありませんが、やってみようというきっかけと工夫の一助になれば幸いです。