マミヤ7初期型の純正改造
惜しまれつつ生産完了してしまった6×7レンジファインダーカメラ・マミヤ7ですが、マミヤ7の初期型(1型と言うか、上下ガンメタカラーのモデル)を有償でII型のパーツに変更してもらえるサービスはまだ継続されています(2015年3月現在)。
中古では初期型の方が安く購入でき、サービスセンターに改造を依頼することでファインダー・遮光幕つまみ・吊り金具を変更しII型に近付けることが可能。
改造で対応できないII型での追加・変更部分は、多重露出対応、露出補正ロックの改良、ケーブルレリーズ取り付け位置変更ですので、これらが不要と感じるなら初期型を選んで必要部分をメーカーで改造という選択も良いと思います。
なお、「マミヤ7」という単語で検索して訪問される方が非常に多い為、当記事を若干増補改訂し、基本部分を掘り下げた「マミヤ7の基本操作とTips」という記事を新たに書きましたのでぜひ合わせてご覧ください(2015.09.21追記)。
マミヤ7の改造対応箇所
2015年3月にマミヤデジタルイメージングに電話で確認し、カメラの製造は完了しているので部品が無くなり次第改造の対応も終了とのことです。以下に記載する3か所の改造が可能で、1か所改造依頼の場合…5,000円、2か所…8,000円、3か所…13,000円とのことでした。
修理部品の保有しなくてはいけない期間もあるので当面大丈夫?かと思いきや、2015年12月にマミヤ・デジタルイメージングはデンマークのフェーズワン社に吸収されてしまい、旧製品のサービスやメンテナンスもフェーズワンジャパンに引き継がれたようだ。現在も改造対応を受け付けているかは未確認。サービスセンターに問い合わせを。
ファインダー採光窓改造
この改造は採光窓をII型のハーフミラーに変更することによって、ファインダー内のブライトフレームの色を濃くして視認性を上げるというもの。
元々非常に見易いファインダーですが、逆光・半逆光時の視認性もかなり向上するのでこの改造はおススメ。ただ、ブライトフレームの宿命で、見えない時はやはり見えませんのでそこは割り切って。
この記事の最初の画像のように、採光窓部分が青や金色に光ってちょっと派手に。マミヤ7は元々地味な外観ですので、ワンポイントのアクセントになってカッコ良さもアップ?
遮光幕つまみ形状変更
マミヤ7はレンズ交換時に、カメラ底部のつまみを回転させて遮光幕を閉じてフイルムの感光を防ぎ、レンズ交換後遮光幕を開くという操作が必要になります。
その遮光幕を閉じるつまみの形状を引き起こし式のものに変更が可能です。
注意しなくてはいけないのが、II型はつまみの形状変更と共に途中で指を離してもつまみが戻ってしまわないラチェット式に変更されていますが、初期型の改造は形状変更のみでラチェット構造には改造できません。
それでも指掛かりは非常に改善されますので、頻繁にレンズ交換するならおススメです。
以下画像は、左が改造前、右が改造後。グリップ下にバッテリーケース、スライドレバーが遮光幕を開けるためのものです。
横吊り金具増設
マミヤ7は元々グリップを下にした縦吊りが標準の仕様となっていますが、II型ではグリップ側にも金具が追加され縦横好みで吊り下げることが可能になりました。
私はこの改造をしていないので写真がありませんが、マップカメラさんのマミヤ7比較ページで吊り金具の位置が見易いので参考に。
改造しなかった理由は、シャッターボタンに伸ばす指が増設する金具に当たりそうなのと、巻き上げレバーの動作角度が大きいのでストラップに引っ掛かるなどしてストレスになるのではないかと思ったからです。元々縦吊りが好きという理由も。
ただ、横吊りの方がぶら下げて移動する際の安定性は高くなると思います。
マミヤ7の知っ得?
マミヤ7には、メーカーで点検等が行われた場合の証明シールが何処かに貼られています(新品は未確認)。ボディは裏蓋を開けたフイルム室内、レンズは下側シリアルナンバーの横が多いようです。以前は西暦だったはずなのですが、いつの間にか平成表記に。
無論、点検や修理から期間が空いていても問題はありませんが、中古で購入する際などは一つの目安に。
中古購入のチェックポイントなど
マミヤ7は致命的な故障が少ない堅牢なカメラだと思いますが、あくまで私の経験からですが中古で購入する際は以下の部分を要確認。なお、空シャッターは裏蓋を開ければ切ることが出来ます。
- シャッターボタンの接触不良
- 巻き上げレバーの戻りスプリング劣化・損傷
- 巻上げ操作が重い(フイルムを入れないと判らない・部品の摩耗が原因)
- ボディ・レンズの機械的連動部分のレンズ側グリス切れ(シャッターボタンは押せてもシャッターが開かなくなります)
- 距離計の縦ずれ
- レンズのニュートンリング発生(実写では問題無い場合が多いようです)
レンズを購入する場合、レンズフードは専用品なので付属しているかも要確認。
バッテリーはリチウム電池の2CR1/3が入手し辛くなってきましたが4SR44か4LR44を使用可能で、かなり撮影しても1年やそこらで切れることは無いと思います。それでも万が一用に4SR44か4LR44を予備に一つ持っておくと安心。
ただ、バッグにしまう際には、必ずシャッターボタン周りのレバーを赤点側に合わせて電源をオフに。シャッターが半押しになっていると露出計が作動して電池を消耗してしまいます。
ちなみに4SR44と4LR44どっちがいいの?と調べてたら以下のページが。両対応の場合は価格と相談…でいいのかな?
アルカリボタン電池LRと酸化銀電池SRの違い:panasonic
ライバル機との比較検討
マミヤ7のライバル機と言えば、同じ6×7レンジファインダーのプラウベル・マキナ67。そして、フジフイルムの66・67兼用機GF670がある。
両機とも撮影しない場合の携帯性を重視した、昔のスプリングカメラ(クラップカメラ)の流れをくむレンズ収納機構が特徴。レンズ交換は出来ないものの広角機をラインナップしているのも同じです。
AE(自動露出)に対応しているのはマミヤ7とフジGF670。マキナは露出計は装備しているが、単独の露出計で機械式のシャッター。
また、マキナは軍艦部シャッターボタン周りにピントリングがあり、フジは6×6・6×7の兼用機で巻上げはノブ式と、マミヤ7がカメラとしては一番スタンダードな仕様だ。
両者と比してマミヤ7のネックはやはり携帯性だろう。標準の80mmも長さがあって収納にはそれなりのスペースが必要。
マキナは1970年代後半から80年代前半に製造されたカメラですので、他の2機種に比べて故障の話を聞くことが多いのがネック。マミヤ7より16年、フジから見れば何と30年も前の発売。カッコいいのはマキナですし、修理対応をしてくれる業者さんもまだあるようですが。
GF670はノブ巻き上げゆえに、マキナから乗り換えた著名な写真家の方も10本も撮ると巻き上げで指が痛くなると仰っていた。これは2つのフォーマットに対応する為の仕様だそうだが、ノブだと素早い巻き上げもやややり辛い面があるだろう。
もちろん当記事はマミヤ7ユーザーの戯言。どれも素晴らしいカメラですので、自身の用途や好みに合ったものを選ぶのがいいかと思います。
VIVA!マミヤ7
様々なギミックを実装し、仕掛けのマミヤ・中判のマミヤと言われたメーカーの機種としてはやや地味な存在ともいえますが、マミヤ7を使っている写真家は多く、私が知る限りでも高梨豊、土田ヒロミ、畠山直哉、野口里佳、長島有里枝、小林紀晴、米田智子、石川直樹各氏などそうそうたる方々が。
カメラ雑誌を全く買っていないのでちょっと情報が足りていませんが、マミヤ7はカメラ偏愛的要素はほぼ皆無ですのであまりカメラ好きの話題に上らないだけだと思います。
独創的な機構はマミヤのカメラの特徴のひとつですが、シンプルな使いやすさとレンズ性能に特化した撮るための完成形がマミヤ7だと思っています。全く余計な機構が付いていない潔さ(強いて言えばセルフタイマーくらい)。
本当に好きなカメラ。長く修理対応が続くことを願って。
なお、全てマミヤ7+80mmで撮影したハードカバーの写真集を蒼穹舎から刊行しましたので、ご興味がありましたら以下リンクからぜひ。