コダックのフィルム値上げへの対応方法

2014年6月の大幅値上げから僅か8ヶ月ほどした経っていないのに、またもコダックのフイルムの値上げが行われる(2015年4月にはイルフォードも追従して価格改定)。
メーカーも国内代理店もまともに発表していないが(この辺が腹立たしい)、情報が最も早い以下のナショナルフォートのリンクを参照していただきたい。

私が使っているのは99%ブローニーのT-MAX400。2014年の春先にはヨドバシカメラで5本パック2580円だったものが、前回の値上げで3970円に。今回の値上げで2015年2月4日からは4830円となる。
趣味の世界でコストを言うのはお門違いではあるけれど、量販店購入でブローニー1本当たり966円。正直、そろそろ常用できる価格ではなくなったという不安が。
定番のTri-X(トライX)やカラーネガのポートラ、エクターといった銘柄も同様だ。

当然撮影本数が多いほど負担は大きくなるので、値上げの際にコダックの日本代理店である加賀ハイテック(コダックアラリス)に「使用量が多いユーザーが少しでもお得感を持てる100本パック等を出してもらえないか」という要望をメールしたもののにべもなく断られた。

愚痴を書いていても仕方が無いので本題に。
今後どういった方法でコダックのフイルムを入手するかという私なりの対応についてです。

アメリカからのフイルムまとめ買い

何故かは分からないけれど、日本で大幅に値上げになっているにもかかわらず2014年の春先以降アメリカとヨーロッパではコダックのフイルムはほとんど値上がりしていません
なお、2015年4月からイルフォードのフイルムも値上げとなってしまったが、こちらもコダック同様に海外では価格据え置き。

つまり、アメリカから通販でまとめ買いをすることにしました。これまでは送料がネックでしたが、今回の値上げによって海外から購入する方が金銭的に負担にならない状況に。
アメリカのB&Hでは、以下リンクのようにブローニーのT-MAX400 5本パックが22.95ドル。日本の6割弱の価格…

10箱(50本)購入する場合、日本までの送料を含めて298.30ドル。円相場が1ドル120円ならば36000円弱。国内は値上げ後4830円×10箱で48300円と、量販店のポイント等を考慮してもかなりの差が出る。
問題はいつアメリカも値上げになってしまうか判らないという事だが、それを今から考えていても仕方の無いことだろう。なお、アメリカで値上げされなければ、円安で1ドル140円になってもまだ海外購入の報が安いという状況。ホント何なんでしょうこの国内価格は…

海外通販でフイルムを購入する工夫

工夫と言うほどでもないのですが、カート内のフイルムの数を1つずつ増やしてゆくと突然送料が跳ね上がるタイミングがありますので、何本欲しいという明確な買い物で無い場合は送料を見て調整してもいいと思います。
例えば、ブローニーフイルムのみを購入する場合36→37箱で送料の上がり幅が大きくなる等。

もし友人がコダックのフイルムを使っているのなら、共同で購入するという方法もあります。
ただ、円相場という変動するものが絡むことと、送料をどのように分担するか、海外購入の関税や国内消費税など面倒な面もありますので、あまり不特定多数の人を集めることはしない方がいいかなぁ…とも思います。
ギャラリーやワークショップ等でまとめ買いをするという動きも出て来ているようです。


B&Hも日本からのお客さんを意識してか?2015年夏ごろから送料が安いDHLでの発送が追加された。過去に注文したのと同じ商品をカートに入れて確認したところ、これまでのUPSも送料が下がっているようだ。その後、更に安いFedExも追加されたが、デフォルトではDHLにチェックが入っているようなので要確認。

まとめ買いと言うほどではない35mmのトライX10本の注文でも、商品代金49.5ドルと日本までの一番安い送料がなんと7.16ドル。最安便も利用してみたが、届くまで10~15日ほど掛かるものの荷物の追跡も可能で全く問題は無かった。

うむむ。次に記載しているリスクの問題はあるにしても国内代理店はもうやる気が無いのかと勘ぐってしまう。
なお、昨今ヨドバシカメラでは10本パックや4×5といったフイルムまで独自セットを作成してバラ売りよりも安く販売しているので、急ぎの場合などはこちらもお勧めだ。

海外通販のリスク

メリットばかり書き過ぎていたのでリスクがあることも実例を挙げて追記しておきます。

まず、海外通販の梱包は期待しない方が良いという事。
アメリカ自体が大雑把なのかB&Hの商品管理の問題なのかは不明ですが、私自身10数回の購入履歴で以下のような体験があります。

  • 印画紙とフイルムを購入した際、緩衝材が一切無く印画紙の重量でフイルムの箱がかなり潰れていた(追記当日の出来ごと)。ブローニーは圧迫に弱い構造なので要注意。
  • 外箱のダンボール角に大きな潰れの発生。購入した展示用の印画紙に少々影響が出るほど酷い状況。
  • 印画紙の箱が開いていており、知らずに運ぼうとして危うく感光させそうになった。

アメリカAmazonで購入した際には商品不着で補償を受けたこともあります。
お店に補償等があっても当然英語でのやり取りで返品も海外発送ですので、万が一のリスクについても少し考えて海外通販をご利用いただければと。

ただ、注文時に「印画紙の角が潰れないように保護してください」等メッセージをを入れるなどすれば対応してくれる場合もあります。
B&Hはメッセージを添付できませんが、注文後に問い合わせフォームから注文番号を書いてコメントすることでしっかり梱包してくれました。

国内でフイルムが安いお店

これは書こうかどうしようかと迷いましたが…ご自身で値段を見てみてください。全ての銘柄を確認しているわけではありませんが、コダックのT-MAX400やトライX、ポートラ等は量販店のポイントを考えても格段に安いと思います(値上げが反映され、若干安い程度に価格変更されています:20150512追記)

それぞれ私自身が実際に購入していたお店ですので、大きな問題は無いかと。在庫が切れても数日程度で補充されるようです。

2017年8月の情報

ふと気付いたら、Amazonで販売されているコダックのフィルムの一部に、食品などで導入されていた定期購入で割引される「定期おトク便」が適用されているようです。

定期購入の配送頻度は1~6カ月を選べるので、時々撮影している程度でも十分消費できるのではないか。他の条件とも合うと最大15%引きになる模様。
海外からの少数購入は送料の安い設定がある代わり、到着まで10日前後が必要なのでAmazonでの購入も選択肢の一つとしていいかも知れない。

マーケットプレイス(出品者)での購入ではなく、Amazon自体が在庫を持ち発送するものが対象なので全ての銘柄・サイズではありませんが、現状確認したものの一部が以下。

コダックじゃなきゃダメですか?

私もT-MAX400に固執しているのであまり大きなことは言えなのですが、コダックのフイルムでなくては写真が撮れないという訳ではありません。トライXのような超定番やエクターの高彩度など、ナカナカ切り替え辛いのは承知の上で。

量販店等では扱っていないフイルムをお手頃な価格で国内販売しているお店がいくつかありますのでご紹介。モノクロが多めですが、時々コダック製品の安売りがあったり特殊フイルムや珍しい印画紙の取り扱いなども。
全てを利用したことがあるわけではありませんが、いずれも実績のあるお店です。

もちろん、国産のフジフイルムにもカラーネガ・リバーサル・モノクロの各種フイルムがあります。銘柄は少なくなってしまったが、コダックよりはかなり割安感があります。
これでモノクロのプレスト400が残っていたら随分違った気もしますが致し方無し。

今後のフイルムについての雑感

正直厳しいフイルムの未来。
フイルムが無くなりはしないでしょうけど、一般の人が買えない値段になって残り続けても意味が無い。アメリカでコダックが大幅に値上げしたら、イルフォードやフォマパンなどをテストして、安いものに乗り換えざるを得ないかなと思っています。

残念ながら個人が頑張って年間1000本撮ってもメーカーにとっては微々たるもの。大きな流れには何の影響もありません。それよりも今回の値上げで年間1000本撮ってた人が、もういいやと諦めてしまう事の方が怖い。

私自身、3本5本と少しでも使う人が増えれば…と思って動いていた時期もありましたが、自分が楽しくたくさん撮るという方が精神衛生上良い方に向かいます。すそ野を広げないと終わりも早くなるでしょうけど、それは個人の手に負える事ではありません。

何にしろ、私たちユーザーはフイルムを使うことしか出来ることは無いので、金銭的に無理をせずに使って行きましょう。ようやく楽しくなってきたので私もしばらくは続けます。

この期に及んでフイルム文化を守れだとか、生産継続の署名活動などと言うのは大嫌い。
それで無くなってしまうのならば、それは製品の寿命だと思っています。もちろん、その時が来てしまったらとても残念に思うでしょうけれど。

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投稿されたコメント
  1. 渋谷たまお
    • 斎藤純彦
  2. ヲガワ
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