写真展ご来場御礼と展示準備の覚え書き

11月25日から12月1日に新宿ニコンサロン開催された斎藤純彦写真展「Milestones」、無事終了いたしました。普段の行いのせいか雨に祟られた一週間となりましたが、ニコン公式集計で1760名という大変多くのご来場を賜り誠にありがとうございました。

そこで、たかが1度展示したぐらいでエラソーに言う事ではないんだけど、あまりにも情報が無いので「初めてギャラリーで写真展をする」という方を想定して、展示が決まってからニコンサロン以外でも役に立つかもしれない展示準備の気付きごとを、自身の覚え書きの意味も含めまとめてみました。

ご来場いただいた方から展示の準備についての質問をいただき、周りに聞ける人がいなくて不安に思っていたとお聞きしたことがこの記事のきっかけとなりました。この場を借りて御礼申し上げます。

(新宿) ニコンサロンでの展示準備

ニコンサロンで写真展を行うには作品の審査に通過しなくてはいけませんが、この記事は「審査に通ってから準備すべきことや注意点」という内容です。どうすれば審査に通るかは私にも判りません。
同じ期間に応募した人と競合する内容であれば、作品の質が高くても落とされるというケースはあると思いますので諦めないことが一番だと思います。私も何度も落ちてます…^^;

タイトル・ステートメント

写真展のタイトルとステートメントは、期限はありますが審査時のものから変更が可能です。写真の内容(セレクト)も大きく違わなければ問題無いようで、特に細かくチェックされることもありません。

注意すべきは、デフォルトではステートメントが会場に掲示されないという点。
皆が皆WEB上のテキストを読んで来場されるわけではないので、会場に写真を見るための手助けとなる文章があった方がよいと思います。私の場合は、設置可能な「挨拶文」をステートメントの内容に変更してもらい会場に掲示しました。

なお、書類で一番締め切りが早いのがダイレクトメール(DM)や展示情報に使用する写真の決定。その1枚で写真展に興味を持ってもらえたり逆もあり得るものですから慎重に。

展示内容を決める

ニコンからA4の封筒で届く書類(ニコンサロン使用許諾通知)に、会場のサイズが記載された見取り図が入っているので、どの壁に何点の写真を掲示するかといった展示プランを早めに考え始めましょう。
展示プランは審査時に作品と一緒に送るとプラスに働く「こともある」と聞くので、どういった展示をしたいかというのは常日頃から考えておくと良いと思います。

展示プランと言っても「どの写真をどこに何枚」だけではなく、写真のサイズから額装するのか貼りっ放しか、額装ならフレームの色(黒・銀・木製等)やマットの寸法等々、決めるべきことは結構多くあります。もちろん掛かる費用の計算も。
展示方法がしっかり決まっていれば、額手配などもすんなり出来ると思います。

作品の搬入と搬出

自分も事前に気が回っていなかったのが、写真や額の搬入と搬出。

写真の額は、ニコンサロンで無料で借りられるものが用意されています。
サイズや数、フレームの色が限られていますが、自分の展示プランに合うのならニコンのものを利用した方がコスト面で非常に助かると思います。

大きなサイズや自分の気に入った額で展示したいという事ですと、通常はレンタルフレーム(貸し額)を利用することになります。
検索すれば東京圏に複数の同業者があるが、私が利用したのは東京と大阪に店舗のある金丸真株式会社さん。フレームの数も揃っていて、早く予約するほど数を多く予約するほど割引が適用されるというありがたいシステム。
宅急便で指定日に額だけを会場に送ってもらい、搬出の際はチャーター便での引き取りも手配していただいた。搬入・搬出の日時や方法は、ギャラリーの担当者にも伝えておくことを忘れずに。

最も困ったのは、いつ額に写真をセットするのかということ。
レンタルフレーム業者で額に写真を入れて会場に発送してもらうか、ギャラリーに出向いて自分で写真をセットするかが一般的だと思います。前者は追加の料金を、後者はギャラリーの都合を要確認。
私は、額を搬入前日にギャラリーに送ってもらいニコンの担当の方に手伝っていただき対応したが、ガラス(アクリル)無しの大全紙46枚を結構てきぱき作業して2時間ほど掛かった。
枚数が多い場合や、アクリルありの場合はホコリや指紋等に気を使うでしょうから、時間は余裕を持って考えた方が良いと思います。

ニコンサロンの場合、額の高さを揃えて壁に釘を打ったり額を掛けたりといった会場の設営は専門の業者さんが行ってくれるので、事前に写真の並び順などを決めておけば手伝い無しに一人で搬入作業をしても問題なく終わると思います。

搬出は次の人の搬入と重なるので少々追い立てられる感がありますが(次が金村修さんだった!)、額に写真を入れるよりも写真を外す方が時間的にはかなりはやく作業が出来ます。
事前に作業場所の相談と、額の引き取り時間に余裕を持たせておけば問題ないと思います。

facebookにニコンサロン搬入のコマ送り動画がありましたのでリンクしておきます(facebookユーザーでなくても視聴できます)。テレビモニターの設置やロール紙の使用というやや特殊な展示方法ですが、作者と手伝い一名(途中お使いに派遣され退出)です。

会場のライティング

私が使用した会場の照明は、蛍光灯全灯を点けるというスタンダードなもの。
新宿ニコンサロンでは他に、蛍光灯の中央イスの部分のみ消灯する、蛍光灯は消して作品へ各々スポットライトを当てるという方法が選べる。
スポットライトは会場はやや暗い感じになるが、作品は蛍光灯より明るく見える…らしい。ただ、1段1列ではない展示方法だとライトの数が足りない場合がある。迷うなら普通の蛍光灯でいいのではないかと。

それから、会場での写真の見え方と自宅等で見ていた印象とでは若干ではあるが差異が出る。
こればかりは「どうすれば」という事は言えないので、こだわるならギャラリーの方に相談して閉廊後に自分の作品を仮置きしてチェックするしか方法は無いだろう。
あくまで私の場合だけれど、モノクロプリントは黒を過度に締めなくても締まって見え、ハイライトは飛んでいても全く気にならないという印象を持った。

閲覧順序の問題

新宿のニコンサロンは、「新宿ニコンサロン」と「ニコンサロンbis」という2つのギャラリーの途中の壁が切れていて双方が繋がっているという少し特殊な構造となっている(以下リンク先参照)。

実はこれが曲者で、カメラのショールームからの入り口は少し小さなbisに接続しており、大きなスペースの側の新宿ニコンサロンは「つなぎ目」から入って来て作品の途中から見始める方が圧倒的に多い。
半周すれば「あぁ、ここが最初か」と気付いてはくれるけれど、こればっかりは根本的な対策がないと思う。並び順に重要な意味があるならつなぎ目からも見れるように…とか?

ただ、構造を知っている方はbisから入って来てもタイトル看板に向かって斜めに歩いて最初から見てくれるので、「気にしない」のがベストかも知れません。

オマケ:写真展の周辺について

写真展会場 芳名帳周り

少しだけ工夫したのは、来場者にお名前を書いてもらう芳名帳周りのこと。
展示を見に行って、メモ紙にごろんとサインペンが置いてあるケースがちょっと目に付いていたのでペン置きを設置。
無論、写真が主だからそんな部分はどうでもいいという意見はあるのだろうけど…

芳名帳や筆記用具は自分で用意する必要があり、安価なもので十分ですが中身の増減が出来るものの方が使い勝手が良いです。
新宿ニコンサロン一週間なら、おおよそ250人ほど記名出来るもので大丈夫なようです。

筆記用具は複数用意したけれど、意外と筆ペンを使ってくださる方が多かった印象。あまり多いと迷うだけなので3種類が限界かな。
ここからDMを持って行って下さる方が非常に多かったのも付け加えておきます。


オマケのオマケ。
インターネット時代ゆえSNS等で簡単に写真が公開出来てしまうけど、写真展をするなら出来るだけ展示予定の作品は見せないでおく方が良いと思う。
展示を見る側からすれば、見に行ったけどDMの写真と全然印象が違うというのも嫌なので、3枚くらいまでは見せてもいいかな…とも。
ただやはり、折角会場に見に来てもらっても作品に既視感があっては驚きも半減よりもさらに削れてしまう。展示方法も同様で、宣伝のためであっても写真のアップというのは最低限に留めたい。


さてさて。ニコンサロンでは、写真展開催後1年間応募をすることが出来ないという規約があって、私が次に応募できるのは1年後の2015年12月末締め・2016年1月審査の回。…結構先だなぁ。
もちろん、また作品を用意して応募するつもり。通るか通らないかは判らないけれど、今度こそは銀座でやりたいからね。正直、新宿1週間に悔しい思いも強くあるし。

なお、展示した作品と展示風景等は当ブログ上位に自サイトを作成し、出来るだけ早いうちに(?)公開予定です。

以下、実際に展示で使った芳名帳とペン置き。芳名帳は、使ってる時に表紙は見えないので関係ないと言えば関係ないのですが^^;

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投稿されたコメント
  1. IGAWAHIROSHI
    • 斎藤純彦